PHP  エクセル10倍活用術              操作編

 ・分析グラフをPowerPointへ貼り付ける時の大切な注意点と2つの方法

 


操作の概要

 ピボットグラフで分析したグラフをコピーして、PowerPoint に貼り付けて、報告書や提案書に活用する事は良くあります。
 その場合に大切な注意点があります。ここではExcel2003 のピボットグラフをコピーして、PowerPoint2003 へ貼り付ける場合の注意点と、問題回避の為の2つの方法を説明します。
 

多量な元データより作成したピボットグラフを、そのままコピー&貼り付けした場合には、大きな問題点が2つあります。

  1. PowerPoint の「ファイルサイズが 大きくなること」です。
    この貼り付けられたピボットグラフの図は、単なる図ではありません。Excelのブック全てを持って貼り付けられています。
    つまり、Excelの元データも全て持ってきているという事です。
    ですからファイルサイズが大きいのです。
     

  2. 情報報漏洩の問題
    もしこのPowerPointをデータとして、仮に他社に渡したとしたら、4万件あまりのデータ全てを渡す事となるのです。これは 重大な情報漏洩の問題となる事もあります。

その回避方法は、2つあります。
以下で問題点の状態の説明と、回避方法を説明します。

操作の流れ

下図のようなピボットグラフがあります

  • 下図のようなピボットグラフがあります。
    これは4万件あまりのデータより作成したものです。

通常のコピー&ペーストの場合(問題がある場合)

  1. ピボットグラフの表示されたシートで、【コピー】を指定します。

ピボットグラフが範囲指定されます

  1. ピボットグラフが範囲指定されます。

PowerPointへ貼り付けます

  1. 例えば白紙のPowerPointに、普通に貼り付けを指定をします。

PowerPointにピボットグラフが貼り付けられました

  • PowerPointに貼り付けられました。
    これが基本的な操作です。
     

  • このPowerPointをそのまま、「○○への報告書」と名付けて、保存してみましょう。
    そして、そのファイルサイズを見てみましょう。ここでは3.73MBもあります。

 

繰り返しになりますが、

  • このファイルサイズが『問題点のその1』です。
    何故1枚のスライドを保存しただけで、このようなファイルサイズになるでしょうか?

    前にも言ったように、この貼り付けられたピボットグラフの図は、単なる図ではありません。Excel のブック全 体を持って貼り付けられています。 ですからファイルサイズが大きいのです。
     

  • 情報報漏洩の問題・・・これが『問題点その2』です。

    もしこのPowerPointをデータとして、仮に他社に渡したとしたら、4万件あまりのデータ全てを渡す事となるのです。これは 重大な情報漏洩の問題となる事もあります。
     

  • 次に、今その事の証明の操作をしてみます。

 

PowerPoint の今貼り付けたグラフをダブルクリックします

  1. 今貼り付けたPowerPoint の絵をダブルクリックします。

  2. すると、PowerPoint の中にExcel が立ち上がり、元データである約4万件の「売上伝票明細データ」 (シートの色を黄色にしています)のシートも表示されています。

  • 上図のように、PowerPoint の中でExcel が動いているのです。
    これはとても良い機能でもあります。

    「OLE」(Object Linking and Embedding)という機能で、Office のソフト同士で、コピー&ペースト(貼り付け)をすると、前のソフトでの機能もそのまま埋め込まれるという事
    です。

    この利点は、PowerPoint 上で、データ分析が出来るという事です。
    他の視点からの分析やグラフの形も変更出来ます。見せるだけでは、とても良い機能です。
     

  • 但し、そのままデータとして渡してしまえば、情報漏洩の問題が起きる場合もありますので、注意が必要です。
     

  • では、データを渡す可能性がある場合や、ファイルサイズを小さくする事を考えた場合の対策は ?→2通りあります。

    @ピボットグラフを貼り付ける時に、単なる「絵」として貼り付ける方法
    A今貼り付けたいピボットグラフの元となるピボットテーブルの表を別シーツに単なる表として、コピーして、その後その表から通常のグラフを作成して、そのグラフをPowerPoint に貼り付ける方法

    どちらの方法でも、元データの漏洩は防げます。
    @の方法をお勧めしますが(ピボットグラフでしか作るのが難しいグラフもある為)、ここでは両方の方法を説明します。

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<@ピボットグラフを単なる絵として貼り付ける方法>

PowerPoint に貼り付ける時、単なる絵 (図)として貼り付けます−1

  1. Excel でのコピーは、上記操作1〜2と同じです。

  2. PowerPoint 上での操作です。ここでは2枚目のスライドに貼り付ける操作とします。

    【編集】→【形式を選択しての貼り付け】とします。

PowerPoint に貼り付ける時、単なる 図(絵)として貼り付けます−2

  1. 図(拡張メタファイル)を選択して、【OK】します。

    ・この形式をお勧めします。
     この時に、決して「Microsoft Office Excel グラフ オブジェクト」は選択しないで下さい
     これでは単なる貼り付けと同じ結果となります。
     
  2. 単なる図として貼り付けられました。ですから、図のツールバーも表示されています。

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<A元となるピボット テーブルを新規シートにコピーして、そこからグラフを作成し、それを貼り付ける方法>

今貼り付けたいピボットグラフの元となるピボットテーブルの範囲指定します

  1. 貼り付け先の新規ブックを用意します。

  2. 今貼り付けたいピボットテーブルの元となるピボットテーブルシートを選択します。

  3. そして、ここではA4〜D16の範囲を範囲指定します(グラフ作成に必要な範囲)。

    ここで、又大切な注意点が2つあります。
      @.3行目の【合計/売上金額】とか【年】の行は含めないで範囲指定する事です。
        それを含めて範囲指定して貼り付けると、ピボットテーブルがそのままコピーされてしまいます
        それでは意味がありません。

      A.次の注意点は、通常のマウスでの範囲指定は、左上から右下へとドラッグして範囲指定します
              が、ここではその方法が出来ないという事です。
        ・なぜなら、A4には【月】という項目ボタンがあります。ピボットテーブルの最大の特徴でもありま
              すが、項目ボタンは移動出来るという事です。範囲指定しようとすると、移動してしまい、思うよう
              には範囲指定出来ません。

        ・そこで、ピボットテーブルの範囲指定したい場合には、右下(ここではD16)から、左 上(A4)へ
                とドラッグで範囲指定します (又はD4〜A16へ)
     

  4. コピーを指定します。

・上記に記載した方法のほかに、ピボットテーブル全体をコピーして
 (注意@を考えずに)、新規シートに貼り付ける時に、「形式を選択し
 て貼り付け」を選択→「値のみ」で貼り付けます。
 この方法でもピボットテーブルのコピーにはなりません。

新規シートへ貼り付け

  1. 新規ブックの、新規シートに貼り付けます。(これは通常の貼り付けでOKです)
    (ワンポイントで説明した方法の時は、必ず形式を選択して、「値のみ」で貼り付けます)

  2. 貼り付け後、【貼り付けのオプション】で、「元の列幅を保持」を選択すれば、綺麗に貼り付けられます。
    この表は、小さな単なるExcel の表です。ファイルサイズも13.5KBしかありません。

  3. ここより、通常の折れ線グラフ作成方法で、前年同月グラフを作成します(詳細説明は省略します)

  4. そのグラフをコピー指定します。

PowerPoint にそのまま貼り付けます

  1. PowerPoint にそのまま貼り付けます。

  2. 貼り付けた図をダブルクリックしてみます。
    Excel が立ち上がりました。

  3. 元のシートである「前年同月表」を見てみます。
    この数字まで、社外秘の場合には問題ですが、グラフである程度の数字は表示しているので、問題ない事もあります。
    詳細な数字も社外秘の場合には、これも情報漏洩にあたりますので、注意が必要です。
    何より、この方法の良い事はPowerPoint のファイルサイズが小さい事です。

  4. 名前をつけて保存してみます。
    そしてファイルサイズを見てみれば、56.5KBでした。最初の操作の3.37MBと大きな違いがあります。

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  • 以上、情報漏洩の対策とファイルサイズを小さくする事を考えれば、一番良い方法は、ピボットグラフをコピーして、単なる図(絵)として、PowerPointに貼り付ける方法が
    ベストだと思います。
     

  • ここで説明したかった点は、ピボットテーブルをコピーの為の範囲指定する時の注意点と(通常のマウスでの範囲指定と逆方向での範囲指定をする事)と、PowerPoint に貼り付ける時は、単なる図として貼り付けるという事でした。

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  • データ分析の考え方や、ピボットテーブルやピボットテーブルの考え方や操作は全て、筆書の本にて詳細に説明しています。
    ここでは全ては語れませんので、是非下記の本を参照して頂ければ思います。
    この本は2003年に初版が発刊されて、現在14版まで増刷されています。
    但し、2003年刊なので、図はExcel2002バードョンですが、Excel2003との違いは、ほんの少しピボットテーブルウィザートの中の絵が違う程度で、操作としては全く同じなので、お役に立てると思います。

    『Excelでマスターする ビジネスデータ分析 実践の極意』(アスキー・メディアワークス社)
    上記より amazon.co.jp の本の購入へリンクしています。

    又このWebと同じ、suminaka.com の「書籍・ツールのご紹介」からでも、リングで進めます。